介護現場の現実とは?働き方改革で変わっていくのか
実際に現場にいたからこそ提案したい介護の働き方改革
益々少子高齢化が進み、これからの労働人口の不足が懸念されます。
その為の対策として政府は
短い時間で効率よく仕事をする事、出産、育児世代や高齢者など潜在した人材の活用、在宅での仕事の仕方など
多様な働き方で総合的な労働力を確保しようと考えている様に思われます。
今でさえ慢性的な人手不足である介護の現場をどう変えていけるのか?
介護現場において今は変革の時を迎えているのではないか?
そんな思いを抱きながら、介護現場における働き方改革について考えてみました。
「働き方改革を邪魔する介護現場の問題点」
■サービス残業、無償の奉仕、それを良しとする風土
元々奉仕の精神からスタートした福祉、介護の現場では、何かしてあげたい、喜んでもらえる事が幸せという考え方が根付いています。
その為に、業務時間外に呼び止められ、手を取られても、いいことをしたと思ってしまう風土があります。
どれだけのことをしてあげられたかが評価される基準になったりします。
これが、結果的には自分達の首を絞めていることに気づいていません。
■プロ意識、社会的地位の低さ
介護現場の仕事は激務で大変です。
多くの施設では介護福祉士という介護のプロが従事しています。
しかし、一日の仕事の流れを見ていても、介護士でないと出来ない仕事はありません。
無資格の初心者でも出来ると思われてしまいがちです。
■低賃金、待遇の悪さ
介護職の給与は世間一般の平均給与より10万位低いと言います。
休みも取れず、長時間労働、この環境が介護士を疲弊させていきます。
重介護を要する為に腰痛を患う職員、交代勤務で体調を崩す職員も多く、離職の原因となっています。
どう考えても、自分も働きたいと思える様な魅力的な職場環境とは思えません。
介護報酬は介護保険制度で決められていますので、財源が増えるとは考えにくい状況です。
では、どうすれば、この悪循環から抜け出せるのか?
介護現場に求められる働き方改革
■ムダを省く(記録の簡素化)
これだけIT化が進んでいるのに、福祉の業界ではまだアナログが多いのが実情です。
紙ベースで重複して何ヵ所にも転記して書いてあります。これは時間を要するだけでなく、複数の記入全てが出来ていないとミスの元になります。
決まった場所に簡潔に確実に書くということが大切です。
基本は選択性にしておいて、必要時のみフリーコメント入力にする等改善すべきです。
■申し送りの廃止
決まった場所に、簡素化された情報があれば、情報収集が楽になります。
業務開始後に情報収集の時間を取り、申し送りは廃止すべきです。
時間がかかるだけでなく、言葉による申送りは言い方や、受け取り方で違った内容に解釈されることになり、ミスの元です。
これにより、プロフェッショナルな高い記録技術が行えると考えます。
■時間外労働を禁止する
出勤開始数分前しか職場に入れないルールを作ります。
業務終了30分前からは記録や残務処理に専念します。その間を対応するスタッフを配置します。
■介護士の仕事をする
食事の準備や片付け、掃除、シーツ交換、誰でも出来ることは、無資格者の仕事とし、介護士は高い介護技術を提供しましょう。
■キャリアパスの導入
レベルによって賃金設定し、プロとして責任を持った仕事をしましょう。
これは結果的に介護サービスの質の向上につながるのではと考えます。
■勤務時間の配慮
夜勤や日勤が入り混じった不規則勤務は生活リズムが狂い、体調不良を起こす原因です。
夜勤専従勤務や、短時間労働、短時間有給など楽に働ける勤務を考えてはどうでしょうか。
■重介助場面は福祉用具や機械化を進める
これには経済的な問題があると思いますが、退職理由に腰痛が多いという事実をもっと重く受け止めるべきです。
移乗リフトや立ち上がり介助ロボットは積極的に導入した方がいいと思います。
介助者の負担を減らすだけでなく、やればできるという利用者の自信につながります。
出来なくなった時に人に頼まなければならないことは屈辱です。
自分で出来ることを増やして、利用者さんの笑顔を作るのが介護士の仕事ではないでしょうか。
これは自立支援の考え方を重視することにもつながるのではないかと思います。
ここまでは今の現場で改善できるであろうという内容をご紹介しました。
介護という仕事にプロ意識を持つ事、介護は奉仕ではなく、ビジネスだという考え方を忘れず、徹底的にムダを省いていくべきだと思います。
ここからは私が考える実現不可能かも知れないけど、この方が効率的だと思ったことを少し紹介したいと思います。
地域ぐるみで改革していける提案
例えば、通所サービスの車を朝、夕あちこちで見かけます。スタッフが足りない、ドライバーがいないとよく耳にします。
例えば、ある一定の地域で区切り、その地域の施設で連携して、現行で行っている各施設の送迎車を、数か所の施設を回る巡回バスの様な形に出来ないのか?
同じ様に、施設で連携してスタッフが足りない時にお助け要員の様な施設同士で助け合うことは出来ないのか?
上記はふと思いついたアイデアですが、興味を持たれたら、ぜひ取り組んで頂けたらと思います。
疲労困憊、疲弊した状況では生産性の向上は期待出来るはずがありません。